千円でべろべろに酔える低価格の酒場で飲むことを「せんべろ」と呼び、その様なお安い値段でお酒とおつまみを提供してくれるお店を「せんべろ酒場」と呼んだりします。
地方よりも都市部に多く点在しており、お店の形態も立ち飲みや角打ちの様な、宴会向けでない少人数で入れるところが多いです。
この言葉は作家の中島らもが2003年に著書『せんべろ探偵が行く』で使い始めたことが始まりで、じわじわと世間に周知されていきました。
せんべろ|はしご酒の手引き
千円でべろべろに酔えると言っても一日に千円しか使わないわけではなく、お店一軒につき千円を目安に飲んで別のお店に向かい、また千円を目安に飲むという行為を繰り返すのが主流です。いわゆる「はしご酒」というもの。
「○○のお店に飲みに行く」というよりも「○○の街に飲みに行く」という考え方の方がしっくりくるでしょう。せんべろができる街として有名な街は下記の通り。
関東圏ではこのあたりがおすすめです。関西圏は現在調査中。
一軒を短時間で楽しみ、その後は別の店に向かいます。その間、酔いを醒ましながら街中を歩き酔いが醒めきらないうちに2軒目に辿り着く。
こうして数軒をはじごして飲み屋街を練り歩き、せんべろと言いながらも結局は数千円使って泥酔してしまうこともしばしば。とはいえ、一つのお店だけでなく、街全体を楽しめるというのもせんべろの魅力のひとつです。
せんべろ|仕事帰りの一杯
休日を利用したせんべろは上述の通り結果的に数千円使用しますが、平日の仕事帰りにふらっと一軒寄って、さくっと一杯飲んで帰るようなことができれば、実質的にも「せんべろ」を嗜むことになります。
しかしこの場合は自宅と職場との間に、せんべろに適したお店があるという条件が必要で、現実的にはそういう環境に暮らしていない方が多いと思います。都市部にお住いの方は一度調べたり探してみるとちょうどいいお店が発見できるかもしれません。
せんべろのスタイル|立ち飲み
せんべろ酒場では「立ち飲み」スタイルのことが多く、読んで字のごとく立ったまま酒を飲みます。店舗側は回転率が高く効率的な飲食の提供ができるような構造でできており、カウンターと厨房のみの形態が一般的です。
支払方法も前金制や商品と代金をその場で交換するキャッシュオンデリバリーなど、一般的な居酒屋とは異なる形式のことが多く、その様々な支払いスタイルも楽しみのひとつになります。
立ったまま飲むことは飲食をすること以外のサービスを極限まで削減する行為であり、極めて純粋に酒を楽しむことができるおすすめの飲食形態です。『せんべろ探偵が行く』の著者である中島らもはエッセイのなかでこう言っています。
最近では座って飲むことが何だか「ゼイタク」をしているような気になるから、習性というものは恐ろしい。
中島らも『ロバに耳打ち』p.58
せんべろのスタイル|角打ち
酒屋の店内でその店で買った酒を飲むことを「角打ち」といいます。酒屋の一角にテーブルが用意されていたり角打ちスペースが設けられていることが多く、買った酒をそこで飲むことができます。居酒屋の様にお酒を提供してくれたりおつまみを作ってくれるようなサービスはなく、純粋に買った酒をその場で飲む至極シンプルなスタイルです。そのため、当然サービス料は発生せずに原価で酒を飲むことができるのがせんべろに適している理由です。
酒屋なのでお目当ての日本酒やクラフトビールの銘柄がある時など、酒の種類にこだわりたい場合には最も重宝するスタイルだと言えます。
ちなみに「角打ち」という名称は諸説ありますが、「酒屋の店の隅(角)で酒を飲むこと」から来ているとのこと。
まとめ
最近ではレトロ回帰のブームもあり、こういったお店は増加傾向にあるように思います。物価高騰や改善しない賃金上昇にも負けずに生きていくうえで、「せんべろ」という文化は強い味方になるはずです。
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立ち飲み屋で食べるお気に入りは「アジフライ」です。
「チューハイ」発祥の地である横須賀には有名な角打ち酒屋があります。
最後に
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