暇な時にこそ読みたい本を10冊紹介します。「暇」と言っても定義は様々ですが、暇な時に本を読もうと言う人は多いはずです。僕は20代の若い時に大病を患い、仕事を休職してそのまま退職したという経験があります。無職になると自分だけが暇な状態になるのです。
闘病やリハビリや再就職など、忙しかったと言えば忙しかったのですがそれはピンポイントな時期だけで、その他はまとまった時間を安静に過ごす必要がありました。そんな時に大いに役立ったのが読書です。昨今も外出制限などで暇な人は多いでしょう。良い本を読んでその暇を価値ある時間に変えましょう。参考にしてください。
暇な時にこそ読みたい本10冊
順番はランキングではありません。
個人的な感想を判断基準にしているのでご参考までにどうぞ。
①夜と霧/ヴィクトール・E・フランクル
ユダヤ人精神分析学者であるフランクルが自らの強制収容所体験を綴った心理学の古典。「暇な時に」と言っておすすめするのが憚られる様な深みのある一冊ですが、生きる意味を考えるという点で本書に勝るものは他に思い浮かびません。
僕もそうでしたが、仕事を辞めると有り余る時間のなかで自分の役割というものについて悩むようになってしまいがちです。そんな時この様な古典から見出せる学びは多いと思います。
②ドグラ・マグラ/夢野久作
日本三大奇書の一つと言われる夢野久作の代表作。文庫版の裏表紙に「これを読む者は一度は精神に異常をきたすと伝えられる、一大奇書」と書かれています。探偵小説ではあるので案外楽しみながら読めましたが、難解であり上下巻の大作でもあるので精神が疲弊してしまうのは事実だったという印象です。
こういった作品は、仕事を辞めたり連休に予定を入れられなかったり、そういったまとまった時間が生まれた時に読むべき本だと思います。
③砂の女/安部公房
砂丘に研究をしにきた青年が砂丘から出られなくなり、そこで出会う女と暮らしていく話。僕は本書のなかの人間が環境に適応していく描写がとても好きで、人生における血肉となってこの本を読み終えました。世界的な評価も高い安部公房の代表作の一つ。
④オン・ザ・ロード/ジャック・ケルアック
若者たちがアメリカ大陸を横断する自由をテーマとした作品。この本の影響は大きく当時多くの若者がバックパックを背負って旅に出たそうです。自分が暇でしょうがない時、本の世界の中だけでも自由でありたいと思った記憶があり、本作を選びました。
⑤そして誰もいなくなった/アガサ・クリスティー
ミステリ小説の金字塔で古今東西のオールタイムベストの1冊。ミステリ小説を読んだことがない人はまずはここから。何かの本で読んだ不確かな情報ですが、アイスランドの様な治安の良い国ではミステリ小説がよく売れているそうです。人間は退屈な時にそういった楽しみ方をしてきたのだと思い知りました。
そう考えると暇な時に最もおすすめできる小説は、ミステリの女王であるアガサ・クリスティー作品ということになります。多作なので莫大な暇を持て余しててもきっと大丈夫。
⑥アガサ・クリスティー完全攻略/霜月蒼
そんなアガサ・クリスティーの100作を評した評論集があります。ポアロ、ミス・マープル、トミー&タペンス、ノンシリーズなど、それぞれを読みやすくまとめてありネタバレにも注意しながら評論してくれています。
★の数で評されていて、★は1点☆は0.5点で最大評価は5点。ミステリ小説の最高傑作と呼ばれる『そして誰もいなくなった』が4.5点となっており、なんとそれを上回る★5つが14作品ありました。100作を全部読む自信はありませんが、★4つ以上の作品くらいは全て読んでおきたいかもしれません。暇な時の強い味方です。
⑦甲賀忍法帖/山田風太郎
山田風太郎の歴史小説、忍法帖シリーズの第1作。様々な超人的な忍者が勢力ごとに分かれて代理戦争を繰り広げる小説でこれがめちゃくちゃ面白い。シリーズは第26編まであります。塩で溶けてしまう忍者から、発情すると息が毒になるくノ一まで、奇想天外な発想で描かれた争いにハマること間違いなしです。
⑧僕にはわからない/中島らも
「僕にはわからない」と勇気と無知を武器にして、世界のわからないことを思索していく哲学的エッセイ。その思索の内容は「人は死ぬとどうなるのか」「「偉人」は何がエラいのか」「なぜ人間は無知なのか」など。
こういったことを考えるのは暇な時が何より。ちなみに僕の好きな話は「アイスクリームと楽園」。真冬に暖房で温めた環境でアイスを食べるという風習を、アイスクリームの歴史から紐解いた面白い話です。
⑨へらへらぼっちゃん/町田康
芥川賞作家の町田康が売れない作家だった日々を綴ったエッセイ。若き日の町田康は昼間から焼酎のお湯割りを飲みながら時代劇の再放送を観て過ごします。テレビの中では悪者がぶった切られていき現実の自分は酩酊を続けていく…。そんな無産状態ですが町田康の文章を通して読むことで不思議な魅力を発揮します。これを読むと何だか全てがどうでも良くなる、全ての暇人に捧げたい名エッセイ。
⑩いかめしの丸かじり/東海林さだお
東海林さだおの食べ残しシリーズの第32作。毎回一つの食事をテーマに思いを巡らせていくエッセイで、本作も「コロッケはカニクリームコロッケの様な高級品になり得るけど、焼きそばは絶対に高級になり得ない」といった考察が延々と描かれていきます。暇つぶしには持ってこいの1冊ですが、もしかしたら暇な時よりも忙しい時の方が心に沁みるのかもしれません…。
最後に
暇な時に読みたい本を10冊紹介しました。暇な時間の協力な味方である読書を少し変わった切り口で紹介してみた次第です。忙しくて擦り切れそうな人はそっと「仕事に効く本10冊」も紹介しているので読んでみてください…。
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