今回はアメリカ文学の個人的なおすすめを10冊紹介します。あまりにも数が多くあるので難しいのですが、単純に僕の好きなものを10冊選んでいます。
とはいえ10冊選んでみると幅広いテーマが並ぶラインナップになったと思えるものにもなりました。本選びに困ったらぜひ参考にしてください。
アメリカ文学おすすめ10選
※順番はランキングではありません。
※個人的な感想を判断基準にしているのでご参考までにどうぞ。
①グレート・ギャツビーF・スコット・フィッツジェラルド
アメリカ青春小説の金字塔。何度も映画化されているほどで、2013年の映画はレオナルドディカプリオが主演でした。富裕で賑やかな日々を過ごしているがどこか陰があって無垢な青年ジェイ・ギャツビー。
語り手のニック・キャラウェイは証券会社に務めており、ギャツビーが持つ不思議な魅力について悲哀を感じながら回想していきます。あらすじからは読み取りづらいですが、少年期との決別という人間にとって避けては通れないテーマを描いています。
②キャッチャー・イン・ザ・ライ/J.D. サリンジャー
「キャッチャーインザライ」もギャツビーに並ぶ古典的青春小説で、多くの読者に強い影響を与え続けている1冊。主人公のホールデン・コールフィールドが、高校を放校となった後の日々を読者に向けて語り掛けて物語が進みますが、無垢な心と欺瞞に満ちた社会との間を揺れ動くホールデンの語りからは色々な読み取り方をすることができます。
③エデンの東/ジョン・スタインベック
ノーベル文学賞作家、ジョン・スタインベックの代表作であり自伝的小説であり、自己の最高傑作と呼んでいます。カリフォルニアのサリーナス盆地から親子三代の壮大な物語が描かれていきます。文庫版で全4冊の大作。父と子・兄弟の葛藤、人間の自由意思、罪の意識、聖書、など多くのテーマを包含した名作です。世界文学史上最悪の毒婦と呼ばれるキャシーも登場します。
④オン・ザ・ロード
若者たちが自由を求めて広大なアメリカ大陸を旅して生きていく物語。本書をきっかけに当時の若者たちはバックパックを背負って旅立ち、その後のヒッピームーヴメントを生み出すことになりました。著者のケルアックは執筆途中に思考停止になってしまうことを嫌ったため、紙をテープで繋いでタイプライターで打ちまくったところ、ひとつながりの巻物状に仕上がったそうです。
⑤ヘミングウェイ全短編/アーネスト・ヘミングウェイ
アメリカ人作家であるヘミングウェイですが、作品の舞台がヨーロッパだったりキューバだったりする作品が多かったのでこれを選びました。(こちらも作品によってはアメリカ以外が多いですが…)
このなかに「インディアンキャンプ」という、アメリカの先住民の村で出産する女性を白人親子が助ける作品があります。どの様に読み取るかは読者次第ですが、当時の先住民と白人の社会的関係性を映し出している様に読み取れます。
⑥ムーン・パレス/ポール・オースター
大学生である主人公のフォッグは私生児で父を知らず母親とも死別。育ててくれた伯父も亡くなってしまい、その後は伯父の蔵書を読んでは売るという学生生活を送っていきます。その後貯金も尽きてしまい、家を出てホームレスとして社会とのつながりが絶たれた孤独な生活を始める。そんなストーリーですが、その後自分のルーツに結びつく出会いが訪れます。内省傾向のある主人公の生き方に共感しながら読む方も多いかと思います。ギャツビーやホールデンに魅力を感じる方は好きなはず(たぶん)。
⑦肩をすくめるアトラス
アメリカ人にとって聖書の次に強い影響力を持つと言われている、思想小説家アイン・ランドの最高傑作。アメリカ大陸横断鉄道を経営する主人公のダグニー・タッガートのもとから、有能な人物たちが次々と姿を消していってしまいます。一方で自らは価値を生み出さない「たかり屋」が暗躍し、ダグニーは彼らと対立を続けていきます。日本人の価値観には馴染まないかもしれませんが、資本主義の聖典とも呼ばれ、仕事に関する価値観がひっくり返ってしまう様なものすごい1冊です。
⑧勝手に生きろ!/チャールズ・ブコウスキー
1940代のアメリカを舞台に、様々な職を転転としながら全米を放浪する労働者視点で描かれた作品。辛い境遇のなかでも主人公は「書くこと」を続け、酒を飲みながら日々を乗り切って力強く生きていきます。この様に圧倒的な生活感を描いている作品を読んでおくと、アメリカ社会に対して血が通ったイメージを抱くことができます。
⑨国のない男/カート・ヴォネガット
アメリカSF小説の代表格、カートヴォネガットのエッセイ。一日で読み切れる分量なので小説を読んだことがない方もぜひ手に取ってみてほしい1冊。
ユーモアが効いた天才的な発想でアメリカ社会を皮肉りながら描いてくれています。「外国人がわれわれを愛してくれるのはジャズのおかげだ」という一文が印象的でした。
⑩ボブディラン全詩集
こちらはおまけ。ミュージシャンとして初めてノーベル文学賞を受賞したボブディランの詩集。ディランの詩は一筋縄ではいかない深みがあり、日頃聞き流すだけになりがちですが、手元にこの様な詩集が置いてあると理解の助けになってくれるはず。
みうらじゅん氏が自分の年齢と同年齢の時に発表されたディランのアルバムを聞くという営みをしていたようで、僕も時々真似をしています。
最後に
アメリカ文学のなかから個人的なおすすめを10冊紹介しました。小説以外も含んでしまいごめんなさい。。。日本人への影響は非常に強い(世界中にも強いですけど)アメリカ文学、読んで損はない作品ばかりでどれも面白いです。気になったものから読んでみてください。
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