社会学者であり作家の古市憲寿さんの『絶対に挫折しない日本史』を紹介します。本書は歴史の専門家ではない古市さんだからこそ書くことができる日本史の入門にうってつけの一冊だと思います。まえがきでも「できるだけ固有名詞に頼らずに、引いた視点で巨視的に日本の歴史を把握したい。まるで神様のような目線で、この国の歴史を描いてみたいと思った」と書かれており、通常の歴史の本に書かれている様な固有名詞を極限まで書かずに日本史の流れを書いている点が最大の特徴です。
こんな人におすすめ
歴史の本を読んでみたいという方はもちろんですが、日頃メディアにもよく登場している古市さんの本を読んでみたいという方にもおすすめできる一冊です。本書をおすすめできるタイプの人を下記の3つに厳選してみましたので、自分と照らし合わせて参考にしてみてください。
- ざっくり日本史を理解したい人
- 暗記が苦手な人
- 日本史のブックガイドが欲しい人
ざっくり日本史を理解したい人
本書は大きく分けて2つの構成で書かれています。一つは「通史」でもう一つは「テーマ史」です。
「通史」とは日本列島の歴史そのもので、誕生から消滅(?!)までを一気に描いています。第二部の「テーマ史」では「コメ」「土地」「家族」などの様に、テーマ別に歴史の流れを描いています。
通史を読むだけでも大まかな日本史を理解することができますし、合わせてテーマ史も読むことでその理解がより深くなるはずです。
読んでいただくとわかるかと思いますが、この様に超高速で日本史を振り返ることによって「現代」について意識するようになるはずです。現代社会に対して漠然と不安を感じている場合も、歴史の流れを知ることでその理由がわかる様になることも多いです。そして理由を知ることで不安は軽減されます。
歴史をわかりやすく説明することで現代についての理解が深まるという、社会学者の古市さんだからこそできる説明なのかもしれません。
暗記が苦手な人
本書では固有名詞を書かないという手法をとって日本史を説明してくれます。一般的な歴史の本の様に「織田信長」や「坂本龍馬」といった名前が使用せずに、日本史の流れを説明することに終始しています。そのため、歴史の勉強は興味があったけど暗記は苦手だったという人にはうってつけの1冊になるかと思います。
固有名詞についてはその都度ネットで調べれば答えが見つかりますが、日本史の通史を把握することはネットで簡単に見つけることはできません。暗記が苦手なことがきっかけで挫折していた人は思いきって固有名詞を覚えずに勉強してみましょう。
固有名詞を書かないという手法は、もちろん暗記が苦手な人に配慮したものでもあるかと思いますが、俯瞰的な視点で日本史を理解するために、あえて固有名詞を書いていないという理由もあるように思います。登場人物が書かれている場合には、その人物の功績を理解したり感情移入をすることによってある種一方的な理解を進めてしまうことになってしまいます。
本書では固有名詞は書かれておらず、徹底的に歴史の流れを追っているのでまえがきでご本人が書いているように「神様の様な目線で」日本史を理解することができるようになっています。
日本史のブックガイドが欲しい人
読書はもっぱら速読と語っている古市さんですが、本書を読み進めていくと本当に多くの書籍を参照していることがわかります。引用元は全て記載されており古市さんの一言も書かれているため、本書はそのまま良質なブックガイドとして役に立ちます。
入門書である本書でざっくりと流れを学んだら、引用元の書籍で興味のあるものから読みはじめて、どんどん詳しくなっていくことができると思います。
最後に
今回は古市憲寿さんの『絶対に挫折しない日本史』を紹介しました。社会学者の古市さんだからこそ書けた画期的な日本史の入門書だと思います。大まかで構わないので、日本史をざっくりと理解すべく本書を読んでみましょう。とても面白いですよ。
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