小説家として知られる村上龍ですが、エッセイも数多く書いています。雑誌の連載で書かれていたものが多く当時の時代が反映されているものもありますが、村上氏の価値観は普遍的でぶれないものばかりなので今読んでも胸に響くものばかりです。
村上龍のエッセイについて
まずは純粋な興味関心から手に取って読んでいただきたいのですが、強いて言うならば村上氏のエッセイを読むうえでの心構えは、現実と向き合う勇気を得ようとすることだと思います。今の世の中では、仕事においても恋愛においても目を背けたくなるような現実で溢れかえっています。僕自身もそんな現実のなか生きていく力を村上氏のエッセイを読みながら養っていくことができたと感じます。
村上龍のおすすめエッセイ5冊
それではさっそくひとつずつ紹介していきましょう。
⑤村上龍全エッセイ
デビューして間もない頃からの等身大のエッセイを読むことができます。1冊目は『限りなく透明に近いブルー』から『コインロッカー・ベイビーズ』まで。2冊目は 『コインロッカー・ベイビーズ』 以降、3冊目は『愛と幻想のファシズム』から『超電導ナイトクラブ』までの時期に書かれたもの。彼が何に影響を受けて生きてきたのかを知るにはうってつけのエッセイ集です。
④おしゃれと無縁に生きる
2015年8月~2018年6月にビジネスマン向けの雑誌『GOETHE』に連載されていたエッセイをまとめた文庫版。仕事ができる人間はわざわざおしゃれに気を遣う必要がないという特権を持っていると書いています。
途上国でバッグを製造し日本で販売する会社マザーハウスの代表、山口絵里子氏が担当しているあとがきも素晴らしいです。
③無趣味のすすめ
こちらは2009年5月~2011年3月にビジネスマン向けの雑誌『GOETHE』に連載されていたエッセイをまとめた文庫版です。
ここで村上龍が「無趣味」をすすめているのは、考え方や生き方を変えて人生を揺るがしてしまうような達成感や充足感を得られることは趣味のなかにはなく仕事のなかにあるという考えから。
②恋愛の格差
冒頭で村上龍も述べている通り、「格差」という嫌な響きを持つ言葉と向き合いながら、現代日本の「格差を伴った多様性」の中での恋愛の可能性を探るためのエッセイ。日本社会に存在した愛情は実は依存だという辛辣な指摘が印象的。大切な人から信頼してもらえる自立した存在になることが大切だと教えてくれます。
①すべての男は消耗品であるシリーズ
1984年から始まったシリーズでvol.1~vol.11まであります。初期は恋愛や音楽、快楽などがテーマに書かれていましたが、2000年前後辺りから社会問題を扱うものに変化していきます。
最後に
今回は村上龍のエッセイを5冊紹介しました。小説と同様に社会問題を扱ったものが多く、読者ひとりひとりに強いメッセージを投げかけてくれます。どれも読みやすいものばかりです。興味を持ったものからぜひ読んでみてください。
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