日本には様々な独自のカレーが誕生していますが、そのなかでも特に異彩を放っているカレーがあります。
それは、石川県を拠点に生まれた金沢カレーです。
たっぷり載せられた千切りキャベツとトンカツ、食べるのはスプーンではなく何故かフォーク、盛り付けられるお皿は銀色のステンレス皿。
おそらくこんなカレーライスは世界のどこを探しても見つけることはできないでしょう。
今回はそんな金沢カレーの特徴について、歴史を探りながらご紹介していきます。
金沢カレーの特徴
金沢カレーは、その独特な特徴で多くのカレーファンを魅了しています。
まずはじめにその特徴をまとめると下記の様になります。
黒に近い深い色のカレーで、ドロっとしたテクスチャーである
Wikipedia
ステンレス製の舟形皿に盛りつけられる
フォーク(もしくは先割れスプーン)で食べる
一般的なカツカレーと違って、カレーの上にカツがのせられ、ソースが掛かる
千切りキャベツが添えられている
まず最初に目を引くのは、その黒に近い深い色合いです。これは特別なスパイスブレンドと長時間煮込むことで得られる、ドロっとしたテクスチャーのカレールーによるものです。
そして、この濃厚なカレーはステンレス製の舟形皿に盛りつけられます。この特殊な皿は、金沢カレーの象徴的な存在とも言えます。
何故金沢カレーには、この様なステンレス皿が使われているのでしょうか。
それは、金沢カレーは注文から提供までのスピードが非常に速く、その慌ただしさから、割れにくくて丈夫な皿を使う必要があったからです。
また、金沢カレーは一般的なカレーとは異なり、フォーク(もしくは先割れスプーン)で食べます。これは、固い豚肉を食べやすくするための工夫です。
カツカレーを食べる時にスプーンだとうまく肉を切れないことがありますが、この些細な悩みをフォークが解消してくれます。
さらに、金沢カレーのもう一つの特徴は、カツにカレーをかけるのではなく、カツがカレーの上にのせられて、その上にソースが掛けられる点です。
これは発祥の店舗であるチャンピオンカレーがもともと洋食店であることが関係しています。
チャンピオンカレーは歴史を辿ると『洋食タナカ』という洋食店から始まっています。当時のメニューである「豚カツ定食」を、新しい看板メニューであるカレーにそのまま載せたため、カツがカレーの上にあるのです。
つまり、金沢カレーのもうひとつの特徴である千切りキャベツも、「豚カツ定食」に添えられている千切りキャベツです。カレーの上に豚カツ定食がそのまま乗っているのです。
金沢カレーの歴史
金沢カレーの歴史は古く、「カレーのチャンピオン」創業者の田中吉和がそのレシピを考案したことから始まります。
田中氏がはじめた洋食店『洋食タナカ』で1963年頃には現在の金沢カレーの原型が完成しており、お客さんからも絶大な人気を誇っていたようです。
その後、田中氏の弟子たちがカレーのレシピを受け継いで独立を続けます。その流れに応じて『洋食タナカ』もカレーの店舗へ変貌を遂げていくこととなります。これが現在の「チャンピオンカレー」です。
この様に金沢カレーの発祥となったのは「チャンピオンカレー」ですが、金沢カレーが全国的に知られるようになったのは「ゴーゴーカレー」がその火付け役となったからです。
新宿に一号店を構えた「ゴーゴーカレー」はメディアへの露出も多く、全国に金沢カレーのスタイルを浸透させる役割を果たします。
ゴーゴーカレーは本社こそ石川県にありますが、店舗の出店は2004年の新宿が一号店です。インパクトのある看板とメニューはたちまち人気を呼び、現在は国内のほか海外へも積極展開しています。
情報番組の取材にて、このカレー自体の名前は?と聞かれ、咄嗟に回答した名称こそが「金沢カレー」で、その言葉がその後メディアで多用されたことから、現在のように一般に定着したと言われています。まさに火付け役なのです。
まとめ
こうして発祥から歴史を知ることで、金沢カレーの謎めいた特徴にも愛着が沸き、より美味しく食べられるようになるでしょう。
カレーうどんやスープカレーに続く、日本独自のカレーとして定番化するのもそう遠い未来ではないと思います。
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