カレー粉を開発した企業

カレー
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 カレーが世界に拡がったのは大航海時代以降で、そのはじめと言われているのがイギリスです。インド植民時代に現地駐在員だった東インド会社の社員たちが「あの辛い料理をまた食べたい」と思ったことがきっかけで、カレーをイギリスに持ち帰る発想が生まれます。

 東インド会社の初代インド総督ウォーレン・ヘイスティングスの影響で、本国イギリスにも少しずつカレーが浸透してきました。

 そしてスパイスを粉末した「カレー粉」を世界で初めて売り出したのがクロス・アンド・ブラックウェル社(C&B社)です。「C&Bカレーパウダー」という商品でした。

クロス・アンド・ブラックウェル社(C&B社)

出典:File:Crosse blackwell logo.png via from wikipediacommons

 クロス・アンド・ブラックウェル社はもともと、貴族のパーティーなどの料理を請け負う会社でした。植民地インドの料理を作るときにあらかじめ多種類のスパイスを調合して省力化を図ろうという戦略のもと、「C&Bカレーパウダー」と名付けたカレー粉を一般向けに販売しています。

 カレー粉にはターメリック(ウコン)やトウガラシなどのスパイスが混合されており、当時イギリスのターメリックの輸入量が1820年以降の40年間で3倍に増加したと言われているほど、急速に普及したことがわかります。

イギリスでのカレーの普及

 歴史に詳しい人はイギリスとインドについて関連性を思い浮かべられるかもしれませんが、そうではない人にとってカレーの様な食文化がイギリスに浸透していることはイメージしづらいでしょう。

 しかし実際にはイギリス人の家庭では大活躍しており、「チキンティッカマサラ」というイギリス人の国民食と呼ばれるカレーも誕生しているほどです。現在でもパブでビールを飲みながらカレーを食べるという習慣もできるほど愛され続けている存在のようです。

 カレー粉の発明からここまでの普及にはどういった経緯があったのでしょうか。

ヴィクトリア女王への献上(上流階級への普及)

 ヴィクトリア女王は大英帝国の最盛期を築いた女王です。1877年に「インド皇帝」を名乗り、これ以来インドはイギリスが直接支配する時代となりました。

 女王は実際にインドに赴いたことはなかったようですが、衣・食・住ともにインドの文化に深く魅了されていました。そんなヴィクトリア女王に「C&Bカレーパウダー」が献上され、これを大変気に入ったと言われています。このことはその後の上流階級への普及に繋がったといえるでしょう。

 カレーをこよなく愛していたヴィクトリア女王は、イギリスの厨房でシェフにカレーをよく作らせていたそうです。

倹約至上主義の価値観(中流階級への定着)

 19世紀になるとイギリスの中流階級の人々の間でもカレーが浸透しはじめます。これには当時のイギリス人の価値観が大きく関わっていたようです。

 中流階級出身の女性たちは「倹約」することが美徳とされており、いかに経済的に家庭を維持できるかが重視される価値観のもと暮らしていました。

 教会の礼拝(ミサ)では肉が出されますが、その後冷めてしまう肉も調理して残さずにうまく使い切ることが賞賛されます。

 そんな価値観のなかで、冷たくなった肉を調理するのにうってつけの料理だったのが、カレーだったのです。味も美味しく栄養面も優れているカレーは、こうしてイギリスの中流階級の家庭に根付くことになりました。

まとめ

 1890年代後半からは、遂に日本でもC&B社のカレー粉の本格的輸入が始まります。

 尚、クロス・アンド・ブラックウェル社はその後1960年に、コーヒーで有名な食品・飲料会社のネスレに買収されています。

最後に

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カレーの語源についてです。

カレーはイギリスだけでなく世界中に拡がっています。

参考文献

カレーの世界史/井上岳久

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