日本ではあまり知名度のない、ベンガル地方とゴア地方にも地方独特のカレーがあります。
ベンガル地方はインドの北東部に属する地域で、現在のバングラデシュもベンガル地方に属します。一方でゴア地方は南西部に位置する地域で、ポルトガルの冒険家であるヴァスコ・ダ・ガマの冒険隊が、基地を建設したことで有名です。
これらは北インドとも南インドとも異なるカレーです。その特徴を紹介します。
ベンガル地方のカレー

ベンガル地方にはインドの北部からずっと続くガンジス河の下流が流れています。そのため米の生産が盛んに行われており、カレーの主食も米が一般的です。
そして淡水魚が好まれており、こちらもカレーに入れるため出汁が取れることから日本人好みの味付けになるようです。
ちなみにインドの多くの地域では宗教上の理由で菜食主義者が多く、飲食店でも肉や魚のないカレーが多いのですが、ベンガル地方は肉も魚も比較的食べやすい環境に思います。(僕個人の旅行歴からの所感です)
ベンガル地方にある都市コルカタでは、信仰されている宗教の種類上、肉食にも寛容な考えの人が多いという話を聞きました。確かに僕がコルカタで食べたカレーにもがっつり肉が入っていました。
ゴア地方のカレー

ゴア地方はインドの南西部に位置する、ポルトガルの影響を強く受けた地域です。冒頭で書いた通り、ヴァスコ・ダ・ガマの冒険隊はゴアに軍地基地を建設しました。
そのためポルトガル料理の影響と地形的な影響を、いずれも強く受けていることがゴアのカレーの特徴と言えるでしょう。この地域で有名なカレーは「ゴア・フィッシュ・カレー」と「ポーク・ビンダルー・カレー」です。いずれも主食は米で食べられています。
ゴア・フィッシュ・カレー
ポルトガルの影響により、ゴアに根付いている宗教はインドでは少数派のキリスト教です。そのため肉も魚も食べますし、お酒も普通に飲んでいるそうです。また、ゴアは海が近いので海の魚が豊富に使われ、インド南部で好まれているココナツで煮込まれているのも特徴です。こちらは地形的な影響が強いような印象ですね。
ポーク・ビンダルー・カレー
こちらは日本でも知名度がある「ビンダルー」です。最近はレトルトでも見かけますね。酸味と辛味が特徴的で、ワインとニンニクを使用した豚肉のカレーです。
vindaloo(ビンダルー)はポルトガル語でvinha e alohos(vinhaが「ワイン」、eが「and」、alohosが「ニンニク」)に由来します。何気なく使っていた名前はカレーなのにポルトガル語だったなんて意外ですよね。
まとめ
ベンガル地方とゴア地方のカレーを紹介しました。どちらも見事なご当地カレーを生み出していますね。
共通しているのはココナツを使用していることと、主食が米であること。また、完全菜食ではなく肉や魚介を食べることに寛容な食文化ということでしょうか。
どちらも私たち日本人にとっては好みのカレーばかりだと思います。
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こちらは北インドと南インドのカレーについてです。
世界中のカレーを何とか整理した記事です。
カレーにおける主食についてです。お米派とパン派が地域によって分かれます。
参考文献
カレーの歴史/コリーン・テイラー・セン【著】竹田円【訳】
カレーの世界史/井上武久
最後に
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