日本で「カレー」という言葉を初めて使ったのは福沢諭吉だと言われています。当時は「コルリ」と呼んでようですが。ちなみに福沢諭吉がカレーを食べたという記録は残っていないそうです。
そして日本で初めてカレーを食べたのは明治の物理学者・山川健次郎だと言われています。国費留学生としてアメリカへ渡る際に、船の中で「ライスカリー」を食べたそうです。
そんなカレーも多くの立役者たちのおかげで、日本の社会にも浸透してきました。その詳細は別の記事でも書いているのでもし良ければお読みください。本記事の最後にその他の関連記事としてリンクを載せています。
さて、しかし現在ほどの全国的な普及に至ったのには、どの様な歴史があるのでしょうか。これには大きな理由が2つほどありました。それは戦争と給食です。
カレーと戦争

あまりピンとこない2つの言葉ではありますが、両者には密接な関係が存在しています。
まず、戦争に従事する軍隊という組織では、大人数の食事を用意する必要があります。また、いつ敵の攻撃を受けるかもわからない状況であるため、素早く調理できてすぐに食べられる料理が重宝されるという固有のニーズがありました。
カレーは大きな鍋に肉や野菜を入れて煮込めば、何十人もの料理をすぐに作ることができます。また、盛り付けるお皿も一枚で済むため後片付けは簡単です。そして何より美味しくて栄養バランスも良い、そんなカレーは軍隊の食事としては理想的なものでした。

こうした理由から当時の日本の軍隊ではカレーが浸透していきました。軍隊には日本各地から若者たちが集まってきます。彼らは実戦と演習でカレーの作り方と美味しさを覚え、兵役を終えると故郷に戻って覚えたカレーを家で作って家族で食べました。この様にして日本全国に一気にカレーが普及していったのです。
戦後の給食による普及

終戦後、一部の地域でしか実施されていなかった給食は、1951年2月から全国に拡大することになります。翌1952年4月までに日本全国の小学校で食べられるようになりました。物資が乏しい頃は現在の様な「カレーライス」ではなく、カレー粉を使用した「カレー汁」の様なものだったようです。いわゆる「カレーライス」が給食に登場するのは、1970年以降になってからのことです。
その後、全国学校栄養士協議会という日本の食育事業を担う団体が「学校給食の意味や大切さを知ってもらいたい」というきっかけから、日本全国で統一のメニューを提供することが企画されました。その際に提案された学校給食のメニューが「カレー」だったのです。実際に提供された日が1982年1月22日だったことから、実は1月22日は「カレーの日」なんだそうです。
提供にあたっては全国の子供たちにアンケートを実施し、その結果でカレーの人気が第一位だったため「カレー」が統一メニューとして選ばれました。もともとカレーの美味しさは認知されていたのですね。
まとめ
カレーの日本社会への全国的な普及に関しては、軍隊と給食という、いずれも戦争の影響が背景に存在していたのでした。歴史というのは身近なことにまで影を落としているものですね。
最後に
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参考文献
カレーの世界史/井上岳久
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