「ワインと言えばフランス」というイメージが日本では一般的ですが、スペインのワインも非常に美味しいものが山のように存在しています。
国別ワイン生産量ではイタリア、フランスに次ぐ世界第3位、ワインにフルーツを入れたカクテル「サングリア」発祥の国でもあり、産業としても文化としてもスペインではワインが欠かせないものであることは間違いありません。しかし日本では「ワインと言えばフランス」といったイメージが先行し、あまりスペインワインについてご存知ない人の方が多い様な印象があります。
そこで今回は「失敗しないスペインワインの選び方」をご紹介しようと思います。
「リオハ(rioja)」を選べば間違いなし
スペイン全土で数多くのワインが生産されているなか、どれを選べば良いのか。地名や商品名にも聞き慣れていない場合は何を基準に選べば良いのか迷ってしまいます。
そういった場合、まずはスペイン北部に位置する「リオハ(rioja)」という地域のワインを選べば、まず間違いなく美味しいワインを味わうことができるはずです。
リオハはスペイン語で「rioja」と書きます。日本で購入する時もラベルに必ず産地が明記されているのでラベルを読んで判断しましょう。
スペイン語のアルファベットの読み方で、「j」は「ジェイ」ではなく「ホタ」と読むため「rioja」は「リオハ」と読みます。スペイン語圏の人たちは「はひふへほ」を「ja ji ju je jo」と読むので、チャットメッセージなどで笑うことを意味する日本で言う「(笑)」の様な表現を「jaja」(「ハハ」という笑い声の意味)と書いて表現したりしているのです。

値段についてはピンからキリまでありますが、750mlで2000円以内で買うこともできるので庶民的な感覚で楽しむことが充分に可能です。
それでは何故「リオハ(rioja)」を選べば間違いないのかを説明します。
「リオハ(rioja)」が代表的な産地となった理由

リオハがスペインワインの代表的産地になったのにはいくつかの理由があります。リオハの地形はブドウの栽培に適した気候をもたらし、ワイン生産の技術発展にも大きな影響を与えた歴史が関係しています。
ブドウ品種「テンプラニーリョ(Tempranillo)」
スペインの赤ワインを代表するブドウ品種は「テンプラニーリョ(Tempranillo)」という名称で、スペイン各地で栽培されています。
そのなかでもリオハは地理的要因からテンプラニーリョの栽培に非常に適しており、国内で最高品質のテンプラニーリョ生産地として知られています。もちろんブドウの品種はラベルに明記されています。
つまり、産地は「リオハ(rioja)」を、ブドウ品種は「テンプラニーリョ(Tempranillo)」を選べば、スペインワインの代表格を選ぶことができるようになります。
ボルドーの製法と歴史的な関係
ブドウの産地に適していたリオハですが、ワインの醸造技術の発展とその魅力を世界に拡げたのは、1850年代と1870年代にヨーロッパで蔓延した病気の歴史が関係しています。
まず1850年代にもともとイギリスで発生したウドンコ病という植物病害がドーバー海峡を渡ってフランスに蔓延してしまいました。世界的に最も有名なワイン産地であるフランスのボルドーがワインを生産することができなくなってしまったのです。
ウドンコ病の蔓延はガリシア地方などスペインにも及んでしまいますが、そんななかリオハは乾燥した気候であったことが幸いして流行から逃れることができました。これによりリオハはフランスへワインを大量輸出することになります。病気の蔓延によるボルドーの生産低下がリオハのワインを海外へ拡めるきっかけになったのです。
1870年代になるとウドンコ病の流行は落ち着きましたが、次はフランスで害虫フィロキセラによる被害が拡まってしまいます。またもやボルドーのワイン生産はストップしてしまい、再びリオハのワインへの需要が高まることになります。
そしてこの時にボルドーのワイン醸造家たちが、ウドンコ病やフィロキセラの影響を避けるためにリオハ地方に移住してきました。こうしてリオハのワイン醸造はボルドーの製法から影響を受けて更なる発展を遂げます。
ボルドーの製法とテンプラニーリョ種を組み合わせたリオハのワイン産業は、1880代になると「スペインワインの黄金時代」と呼ばれるほどに成長しました。
楽しく飲みたいスペインワイン

スペイン語には「pasarlo bien(パサルロビエン)」という表現があります。「pasar」は「過ごす」、「lo」は目的格の代名詞で「それ」、「bien」は「良い」英語で言う「good」で、「pasarlo bien(パサルロビエン)」は「楽しく過ごす」という意味になります。
スペイン人達はバルや家庭で美味しいワインを飲みながら、毎日を楽しく過ごしているようです。「楽しく過ごす」ために、美味しいワインはとても役に立つはずです。
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最後に
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参考文献

リオハだけでなく、スペインワインの銘柄や生産地について幅広く学べます。

スペインの歴史に興味が出てきたら中公新書の物語シリーズが役に立ちます。

こちらはジュニア新書というだけあって読みやすいです。しかし内容は非常に充実しています。
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