2022年も「欲望の資本主義」を観て今年の目標を考えました。

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2022年も「欲望の資本主義」を観て今年の目標を考えました。雑記
2022年も「欲望の資本主義」を観て今年の目標を考えました。
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毎年の年始に楽しみにしているNHK-BSの番組があります。2017年から放送されている「欲望の資本主義」という番組です。「やめられない止まらない欲望の資本主義」をテーマに、哲学から経済学、起業家まで世界中の知性が資本主義の未来について激論を交わすドキュメントです。テーマが壮大であることから個人の暮らしに落とし込んで考えをめぐらすことは困難に思うかもしれませんが、僕は毎年じっくりとこの番組を観て「自分に何ができるか」「自分はどう生き残るか」など考えるヒントを貰えています。

そしてこの番組のテーマ音楽が好きです。資本主義社会を象徴する映像のBGMとしてこんなにマッチした選曲は他に考えられないほど。すごいセンスですね。


三宅純さんの「Lilies Of The Valley」という曲で、クールなウッドベースとドラムのブラシ音に、美しく妖艶なピアノが気持ちよく乗っかっていきます。時折後ろで響く唸るようなギターも溜まらないです。

さて、今年は世界の金融市場の動向から始まり、気候変動問題に対する各国の試みまで多くの議論が交わされていました。この規模の番組を全て消化できるような理解はなかなか骨の折れる行為なので、録画しているものを少しずつ見直している状態です。時点で印象的に感じたことをいくつか書こうと思います。

ジム・ロジャーズ氏が語る世界への警鐘

番組の第3章で世界三大投資家のひとりであるジム・ロジャーズ氏が登場しました。旅が好きな人におすすめする本として「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界バイク紀行」を紹介したことがあります。この本は本当に面白いですよ。

さて、番組では第2章にZ世代と言われる現代の若者が投資家として資本主義社会に参加していく近況が紹介されていました。最近は大学の授業などで積極的に金融の教育が行われているんですね。先進国である日本社会に生まれたにも関わらず従来の様に雇われる形態でばかり資本主義社会に属すのではなく、他の方法でも前向きに参加していこうという学びを共有していました。
悲観的な展望ばかり想起する日本社会においてはある意味当然の流れなのかもしれませんね。コロナ禍で家にいる時間が増えたことや雇用の不安定さから将来が不安になって勉強を始めた若者の声が紹介されていて「そうだよなぁ」と感じた次第です。

しかし次章で登場したジム・ロジャーズ氏は現在起こっている政府と中央銀行の市場介入は危険なバブルだと、日本も含めて鋭く指摘をしていました。「ツケを払うことになるのは私たちとこの番組を観ている全員だ」と皮肉ります。ジム・ロジャーズ氏の投資哲学に「歴史を学ぶこと」があり、著書を読むことでも歴史への造詣深さが伺えます。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言いますから、ジム・ロジャーズ氏の警鐘にはハッとさせられることになりました。前章のZ世代の投資家と重ねた仕掛けになっていたということですね。さすが「欲望の資本主義」。序盤から学びの多い構成に驚かされます。

トーマス・セドラチェク氏vs斎藤幸平氏

番組の後半でチェコの経済学者であるトーマス・セドラチェク氏と昨年『人新世の「資本論」』で話題となった斎藤幸平氏が資本主義の在り方について、オンラインで熱い議論を交わしました。気候変動問題への対処として「脱成長」を唱え続ける斎藤幸平氏に対して、共産主義を経験しているセドラチェク氏の考えは、資本主義の制度内での問題解決をする方針を終始貫いていました。

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それぞれの経験からか主張は全く嚙み合わないまま両者譲らないかたちで議論は白熱していました。まぁそこが視聴者としては面白かったです。こうして議論を客観的に見るとどちらの主義にも夢想してしまっている側面が見えてきたように思います。
セドラチェク氏の著書は数年前に読みましたがまた機会があれば読み直したく思います。神話をベースにして資本主義を分析していく面白い本です。

その他、まだ読んだことがない著名な学者がぞくぞくと出演

正月特番なので非常に長尺な内容になっています。著書を読んだことがある出演者で印象的だったのは上述の通りですが、その他にも多くの著名人が資本主義の在り方について持論を展開していました。興味を持ったものを簡単に紹介します。

ケイト・ラワース氏 ドーナツ経済

オックスフォード大のケイト・ラワース氏。従来の直線系経済モデルに対して循環型経済モデルを提唱しています。斎藤幸平氏の著書でも紹介されていた理論で最近文庫化もされていたので近いうちに読んでおきたいと思いました。これを映像で観ることができて良かったです。

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番組では循環型社会を目指すオランダの起業家が取り上げられていました。雇用よりも環境を守ると即答で言い切っていた起業家がかっこよかったです。

ヤニス・バルファキス氏 独占資本主義

ギリシャの経済学者ヤニス・バルファキス氏も気になる存在でした。Facebookの様なビックテック企業や金融市場の巨大企業3社(ブラックロック・ステートストリート・バンガード)を例に、現代の資本主義を「独占資本主義」と呼んで指摘をしていました。
市場の原理を利用し成長を原動力とする資本主義自体は批判していないものの、現代の資本主義が独占的になっている状況への指摘が鋭く感じました。野菜の直売所の様な、本来の市場の在り方を取り戻すことが大切だということですね。確かに僕たちは日頃巨大企業のサービスばかり結果的に使用してしまっています。
著者の本は複数翻訳されており気軽に手に入るようなので、いずれしっかり読んでみようと思いました。「クソッたれ資本主義」というタイトルは面白そうですね。

「欲望の資本主義」とどう向き合って生き残るか

人びとの欲望を原動力とした資本主義、この番組を通して資本主義の本来の前向きな側面を多く知ることができたように思います。しかしコロナ禍によって未来は描きづらい状況ですね。更に格差も顕著になってきておりあまり明るい未来を描けないのも無理はないでしょう。そんななかでも得た知識と考える力は自分を裏切らないと信じています。すぐに個人としての最適解を見つけることはできませんが、年間を通してまた勉強し続けたいところです。
タイトルに今年の目標と書いておきながらも全く具体策が思いつきませんでした…。まずは消費者としての経済活動再開ですかね。コロナで会わなくなってしまった知人との関係性など、情勢も見ながら少しずつ戻していくことから始めていきたいと思います。さて、今日は少し遅めの初詣に行ってこようと思います。今年も無理なく頑張りましょうね。

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