現代フランス思想家であり武道家の内田樹さんの『寝ながら学べる構造主義』を紹介します。文春新書で2002年に出版されたものですが、現在も増刷を続けて書店に並び続けている新書としては超ロングセラーとなっている一冊です。
こんな人におすすめ
僕自身は内田樹さんの読者だったので、それがきっかけで構造主義の入門を果たしました。その後構造主義について他の書籍でも勉強してみたのですが、学んだことを体系的に整理したい時には本書を読み直して整理しています。入門書としてだけでなく、学びなおしにも適した1冊としておすすめです。
構造主義の入門書を探している人
あとがきにも書いてある通り、本書は構造主義の入門書を書きたいと思って出版されたものです。
内田樹さんが学生だった頃、西洋から日本に一挙に流入してきた構造主義の思想について書かれていた書籍はどれも難解なものばかりで、内田樹さんも含めて当時の読者はさっぱり理解することができていなかったそうです。
そんな内田樹さんが当時の自分が読んでもすらすらわかるような本を読者に届けたいという思いで書かれたのが本書『寝ながら学べる構造主義』です。専門的な研究ではなく初学者にもわかりやすい入門書を書きたいという気持ちが「寝ながら学べる」というタイトルに表れています。
構造主義を体系的に学び直したい(整理したい)人
本書は入門書ではありますが、構造主義を前史から時系列を追ってわかりやすく整理して説明してくれる本は他にも少ないので、ある程度知識がある人にも充分役に立つ一冊だと思います。全6章で構成されており、下記の通り構造主義前史から主要な構造主義者の理論を交えて時代を追って説明してくれます。
寝ながら学べる構造主義 目次
第一章 先人はこうして地ならしした ―構造主義前史
寝ながら学べる構造主義 (文春新書)
第二章 始祖登場 ―ソシュールと『一般言語学講義』
第三章 「四銃士」活躍す その一 ―フーコーと系譜学的思考
第四章 「四銃士」活躍す その二 ―バルトと「零度の記号」
第五章 「四銃士」活躍す その三 ―レヴィ=ストロースと終わりなき贈与
第六章 「四銃士」活躍す その四 ―ラカンと分析的対話
僕は本書をきっかけに構造主義の思想を知って「めちゃくちゃ面白い!」と知的好奇心が湧き出てきたことを覚えています。その後何冊か関連書を読んである程度構造主義についての知識を深めた(つもり)のですが、あらためて本書を読み直すことで学んだことを整理することに非常に役立っています。
そしてやはり構造主義は難解ではあるので、他の関連書で理解できなかった内容も本書に戻って理解しなおすことにも役立っています。本書は入門書でもあり定番本でもある一冊だと言えます。
内田樹さんのファン
僕は内田樹さんの本を何冊も読んでいるのですが、そのなかでも構造主義にはよく触れておりその時から興味を持っていました。そんな時に本書の存在を知ってさっそく読んでみたことがきっかけで構造主義の概念を知ることになりました。まだまだ理解が浅いので少しずつ深く学びたいところですが、構造主義の概念を知ったことで自分の社会への認識に変化が起こったことは事実です。
その変化を機に今後も学び続けたいと思いますが、そんな重要だけれど難解だった思想への足がかりとなる入門書を届けてくれた内田樹さんに心から感謝します!
最後に
今回は構造主義という主義・思想に関わる本を紹介しました。思想とは言っても入門書なので興味がある人はぜひ手にとってみてほしいと思います。読みやすい新書で手軽に読める、まさに寝ながら学べる点もおすすめポイントです。
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