日本のレストランでインドカレーを時々食べるという人も、そのカレーがインドのどの地域のものなのか意識している人は少ないのではないでしょうか。
インドの国土はなんと日本の9倍と広大で、地域によって全く異なるカレーが食べられています。
ざっくりとインドの地域を区分すると北部、南部、ベンガル(東北部)、ゴア(南西部)に分けることができます。今回はそのなかでも北部と南部におけるインドカレーの違いについて紹介していきます。
ベンガルとゴアのカレーについて詳しくはこちら。インドカレー北部の特徴|ドロッとした味わいとパンの組み合わせ
日本人の大半が「インドカレー」と聞いて思い浮かべるのは、おそらくインド北部のカレーに近いと思います。まずは北部のカレーの特徴を紹介します。
ドロッとしていて主食はパン(チャパティ)
北部では小麦の生産が多く、主食も米ではなくチャパティなどパンが主流です。そのためカレーは牛乳やバター、ヨーグルトなどの乳製品が使われ、ドロッとしたものが好まれています。
ニューデリーやタージマハルで有名なアグラなども北部に属しています。もしインドを訪れて王道の観光をするのであれば、自然に食べる機会が訪れるはずです。
北部のスパイス
インド北部のカレーで使われているスパイスは、シナモン、クローブ、カルダモン、ブラックペッパーなど。これらが含まれていること、料理にえもいわれぬ香りが加わります。
また、北インド料理では、ガラムマサラというスパイスミックスが使われています。「熱いスパイス」という意味です。
日本でも一般のスーパーで買うことができ、自炊のカレーにちょい足しすることで簡単に香り高いカレーにすることができます。
インドカレー南部の特徴|サラッとした味わいと米の組み合わせ
南インドには独特の文化と歴史が根付いています。北部とは全く違う文化が醸成された知られざるインドの魅力的な観光地です。
もちろん、南インドカレーは絶品を極めます。
米と混ぜながら食べるミールス
南インドは1年中暖かい気候で、河川も多くて水が豊富なため、稲作に適しています。そのため南インドの主食はパンやチャパティではなくお米です。
お米の生産が多いため、ご飯にかけやすいようサラッとしたカレーが作られています。乳製品よりもココナッツミルクを多用しているのが特徴です。
そして食文化としての特徴は、円形プレートに複数のメニューを載せたワンプレート定食のような「ミールス」という文化があります。上記の写真は私が実際にインドで食べた南インドカレーです。
ミールスはバナナの葉を皿がわりにして、米と混ぜながら食べるスタイルで、基本的には豆、野菜、ココナッツを使ったデザートも含めて盛り付けされることが多いです。
南部のスパイス
南インドの典型的なスパイスは、コリアンダー、クミンシード、ブラックペッパー、マスタードシード、フェヌグリーク、アサフェティダ、カレーリーフです。
タイのグリーンカレーも南インドと同様にハーブをふんだんに使用しています。
北インドのスパイスの名称は比較的知名度の高いものが多いですが、こちらはあまり聞きなれないものが多いですね。
インドカレー南北の比較|北部と南部それぞれのカレーの違い
広大な国土を誇るインドには、多様なカレーが点在しています。
それぞれが独特の文化を醸成しているので、様々な味わいを楽しむことができる、まさにカレーの天国の様な聖地です。
日本でも多くのインド料理屋が存在するので、旅行ではさすがに行けない、という人もぜひ一度試してみてください。
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参考文献
カレーの歴史/コリーン・テイラー・セン【著】竹田円【訳】
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