「失敗の本質」と「ブルシット・ジョブ」から組織と人間を考える。「人生は短い。」

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「失敗の本質」と「ブルシット・ジョブ」から組織と人間を考える。「人生は短い。」雑記
「失敗の本質」と「ブルシット・ジョブ」から組織と人間を考える。「人生は短い。」
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いきなり愚痴になってしまい申し訳ないのですが、最近職場において組織に振り回されている感が非常に強くもやもやしています。あらゆる業務で惜しみなく協力していた社員が退職したり、共に成長することを助けてくれていた上司が急遽異動になってしまったり、そんなことが相次いでいます。自分が果たしてきた成果がどこかに消えていっているようなもどかしさや、全体に振り回されている感がついてまわってしまい、果たすべき役割に集中できないもやもやが募っています。
「人生とはそういうものだよ」という言葉が聞こえてきそうです…。とはいえ愚痴ってもしょうがないことではあるので、心を落ち着けるべく近年読んだ本から学びを得て、このもやもやをやり過ごそうと考えました。

「失敗の本質」から考える組織と個人の在り方

「失敗の本質」という日本における組織論の古典となりつつある名著があります。大東亜戦争における日本軍の悲惨な敗戦を「組織としての日本軍の失敗」と捉えて徹底的に分析・研究した1冊で、東京都知事の小池百合子氏やサントリーホールディングスのCEOである新浪剛史氏など、大規模な組織を経営する著名人も本書を座右の書として挙げているほど強い影響力を持っています。そのため、日本軍の研究という一見すると現代と関係なさそうに思える知見が、実はそのまま現代の日本企業の経営、そして日本経済に強い影響を与え続けていることになります。

本書の構成は、第一章にて当時の日本軍の6つの作戦(ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ作戦、沖縄戦)を失敗の事例として分析を行い、第二章でその失敗の本質を読み解き、第三章で失敗を教訓に活かすための考察を行うというものです。

全体を通して読んでいくと、いかに日本軍が対人関係への配慮に固執してしまったかがアメリカ軍との比較によって顕在化されていきます。日本軍は人員が組織内の人的ネットワークのことばかり考えて動き、そのためひとりひとりから失敗の経験を学びとろうとする姿勢が失われ、方法や手段ばかりが重要視される膠着した組織になってしまったようです。これは現在の日本の企業でも未だに起こり続けている失敗に酷似しているように思います。人事評価のために上司の指示や周囲との関係性にばかり配慮して仕事の成果を疎かにしてしまう。こういう光景は今もよく見ますよね。
しかし、僕はそういった行動をしてしまう人を否定できる立場にありません。自分もその様に動いてしまうことがあるからです。

当時日本が敗戦によって負った被害は計り知れないもので簡単に語ることはもちろんできませんが、その被害の原因が組織の在り方や構造的な原因によるものだとしたら、僕たち個人としてはどうすれば良いのでしょうか。ここからは私見ですが、まずは自分たちがそういった構造のなかを生きていることを自覚することでしょうか。そして自分も組織に飲まれ得る(もしくは既に飲まれている)ことも自覚し、そのうえで組織を変革すべく仕事に取り組むも良し、組織と程よい距離を取って生活するも良いと思います。また、当時に比べると圧倒的に豊かな生活を既に私たちは送っています。この利点を活かさない手はないでしょう。現代のあらゆる手段を駆使して組織と上手く付き合い、自分の人生を価値あるものにしたいですね。

「ブルシット・ジョブ」を知ることから仕事の価値を見直す

さて、「ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論」という近年話題となった文化人類学者の本があります。著者のデヴィッド・グレーバ―が定義する「ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)」というのは、「仕事をしている本人さえもその仕事が社会にとって意味がないと自覚しながら行っている仕事」のことです。
わかりやすい例としては、昨年の「100分de名著」で斎藤幸平さんが説明していた広告代理店で働く人の例です。歯磨き粉の広告の画像を加工する仕事に就いている人は、広告となる画像の歯を白くする仕事をし続けています。これは製品の価値を生み出してはおらず、消費者を呼び込むために労働をしているに過ぎません。近代においてはこの様な「ブルシット・ジョブ」ばかりが増えているというのがグレーバーの指摘です。

本書は近年世界的に共感を得て話題となっており、世界中の労働者が「自分もブルシット・ジョブをしていた!」という気づきを得て、自分の仕事の価値を問い直すムーブメントとなっているようです。「失敗の本質」では日本の組織的欠陥について考えましたが、この様に資本主義社会全体を詳細に分析しながら構造として捉えることで、少しは個人でできることも考えられるように思います。
人生において労働している時間は非常に長いウエイトを占めてしまうので、その価値ある時間を「ブルシット・ジョブ」にはしたくないものです。

「人生は短い」行動して深く考えよ

人間はひとりでは生きることができず、どうしても組織に属することになります。仮に企業などに所属しないフリーランスの様な人も社会とは関わりを持っています。今日ご紹介した2冊からは人間が集団と関わって生きていくうえで、いかにうまくいっていないか深く反省をさせてくれる2冊かと思っています。
過去の失敗を分析し現在と未来に活かすことから進歩は始まります。先日ご紹介したジム・ロジャーズ氏は著書のあとがきのなかで、作家の村上龍に対してこう言いました。

「リュウ、人生は短い。遠くまで行け。そして深く考えよ」

『冒険投資家ジム・ロジャーズ 世界バイク紀行』p.417

そろそろ経済活動が再開されようとしています。過去の偉人たちが残してくれた価値ある学びを短い人生に活かしていきたいですね。行動することと考えることを大切に、明日からも程よく組織と関わって暮らしいくことにします。

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