欧米人はお酒にとても強いです。彼らは我々日本人に比べて圧倒的にお酒に強く、たくさん飲んでいるにも関わらずなかなか顔が赤くなったりしない傾向にあります。
一方、日本人もお酒が好きな人種かと思います。日本酒はもちろん焼酎やビールも国産で世界的に認められているお酒がたくさんあり、飲食店にも事欠くことはありません。しかし下戸と呼ばれる人の割合も多いうえに、お酒が好きな日本人も欧米人ほどは強くはありません。
この原因は主に遺伝子レベルで明らかになってきているようです。更には、日本人の歴史を紐解くと何故その様な遺伝子となったのかもわかってくるようです。
アセトアルデヒド
人間がお酒を飲んで酔う原因となる物質は「アセトアルデヒド」と言います。アセトアルデヒドが体内に存在すると人は酔っ払い、肝臓機能によって分解されると酔いが冷めるということになります。
アセトアルデヒドが分解できずに体内に残っていると、いわゆる「二日酔い」の状態になってしまうわけです。
エタノールの最初の代謝産物であり、フラッシング反応や二日酔いの原因物質。ヒトへの発癌性が疑われている。
エタノールは主として肝臓で酸化されてアセトアルデヒドになり、さらに酢酸へと代謝されます。アセトアルデヒドの分解が遅い体質のひとは、少量の飲酒でフラッシング反応(顔が赤くなる。吐き気がする。動悸がする。眠くなる。)を起こし、比較的少ない量の飲酒で二日酔いも起こします。
アセトアルデヒド|e-ヘルスネット(厚生労働省)
日本人はこのアセトアルデヒドを分解する能力が欧米人に比べて弱いと言われています。これが日本人がお酒に弱い理由です。
日本人は何故アセトアルデヒドを分解できないのか。
これには日本人が過去に稲作を営んできた歴史が関係しているということが、近年の研究でわかってきました。
日本の歴史を辿ると過去数百年以上、米の生産が国の主要な産業だったということがわかるかと思います。肉食など西洋の食事を摂っているのはここ100年程度の話です。そのため、我々の先祖の非常に多くの人々は、稲作に従事していたということです。
稲作は水田で行われます。のどかな風景に思いますが、水田には寄生虫や蚊が多く棲んでおり、稲作をするうえで非常にやっかいな存在でした。現代の様に駆除するための薬剤も当時はありません。そんな寄生虫や蚊が嫌う物質があります。それが「アセトアルデヒド」です。アセトアルデヒドが体内に残っていると虫が寄ってこない。だから日本人はアセトアルデヒドを分解せず、あえて体内に残る様に環境に適応することを遺伝子に刻んでいったのです。
これが日本人が酒に弱い理由です。酒に弱い体質の日本人の方は、もしかしたらご先祖様が一生懸命稲作に従事されていたのかもしれません。
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欧米ではワインの醸造技術にも当時の病気蔓延が理由となった歴史があります。
お酒の歴史は面白いですね。
最後に
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