コーヒーベルトに属した気候と広大な国土を持つブラジルは世界一のコーヒー生産国であり、日本のコーヒー生豆の国別輸入量でもダントツで一位を誇ります。
かつて大隈重信が「ブラジルが生産しているコーヒーは準国産品(準日本産)」という言葉を残しているそうです。これはどういうことでしょうか。
その理由は19世紀にブラジルに渡った日本人移民たちが、現地の労働力として活躍したためです。
商品パッケージの商品説明を読めばわかりますが、日本で普段飲むコーヒーの多くにブラジル産が使用されています。毎日のように飲むのだったら、その歴史を少し知っていると有難みが増すというもので、更には日本人が大きく関わっているのなら尚更です。今回はブラジルコーヒーについて、歴史やウンチクなどを簡単にご紹介します。
ブラジルはどんな国なのか
ブラジルはもともとポルトガルの植民地でした。大航海時代のコロンブス以降、多くの探検家が香辛料を求めてインドへ向かっていたのですが、ポルトガルの船乗りであるカブラルという男もその一人でした。
ヴァスコ・ダ・ガマがインド航海から帰った後、ポルトガル政府はカブラルにインド派遣を命じます。派遣されたカブラルですが、アフリカ西岸沖を南下中に嵐に流されて、意に反して大西洋を横断してしまいました。
その時に漂着したのが今のブラジルです。アメリカ方面は基本的にスペインの勢力範囲だったのですが、こういった経緯もありスペイン語圏である中南米諸国のなかでブラジルだけがポルトガル語を公用語としています。
ブラジルコーヒーの生産と日本人移民
さて、世界史にブラジルが登場するのはそんな歴史があってのことですが、そういった経緯もあり17世紀前半にポルトガル人がコーヒーを持ち込み、19世紀に生産量を飛躍的に伸ばして世界一のコーヒー大国となりました。
広大な国土があるため大規模なコーヒー農園が多く、生産するための様々な機械導入もスムーズに進んだようです。しかし機械が発展し導入されるまでは多くの人的労働力がこの大量生産を支えていました。その貴重な労働力が各国の移民であり、なかでも日本人移民が多大なる貢献をしたのです。
彼らの存在が日本とブラジルの友好の懸け橋となり、コーヒー豆の輸入は明治時代から盛んに行われていました。当時を代表する政治家である大隈重信が「ブラジルが生産しているコーヒーは準国産品(準日本産)」という言葉を残しているそうです。
現在でも約190万人という日系人が暮らしており、これは日本国外最大の日系社会でもあります。地球の裏側に位置する遠い遠い国なので普段はあまり意識することがありませんが、日本とは関わりが強い国だったんですね。
厳しい評価基準もある
ブラジルのコーヒーが世界一であると言われるのは歴史と地理的条件からだけではなく、厳しい評価基準を設けて品質の良いコーヒーを生産し続けているからにほかなりません。
コーヒーには「グレード」と呼ばれる基準があり、これを基準に品質の良し悪しを判断することができるようになっています。しかしこの「グレード」の基準は国によって様々な事情があり画一的には判断はしづらいのです。
ただ、そんななかでもブラジルは非常に明確に「グレード」を区分けしており、その基準も非常にわかりやすくしっかり格付けが行われている印象が伝わります。もちろん格付けだけが全てではありませんが、各国のこだわりのひとつの参考にはなるのかと思います。
たとえばコロンビアでは「グレード」がサイズでしか区分けされておらず、イエメンではそもそも格付けがされていません。そんな業界内でもコーヒー大国ブラジルは、7段階のグレードに300gのコーヒーサンプルを小分けし、小石や枝、外皮の数、未熟豆、割れ豆、虫食い豆などを調べたあと、サイズがチェックされて判定されます。
ブラジルには「コーヒー鑑定士」と呼ばれる人たちが存在し、彼らが上記審査を丹念に行ってから出荷がされています。グレード以外にも、豆のサイズの基準である「スクリーン」や、香りや味の基準である「カップテスト」というものもあります。
まとめ
歴史、地理、労働する人々、生産のこだわり、これら全てが合わさって美味しいレギュラーコーヒーを私たちは飲めていた訳ですね。日々のコーヒータイムでも思いを馳せながら飲みたいと思います。
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南米大陸だけでなく、北米(アメリカ)のコーヒー史も面白いです。
参考文献
ツウになる!コーヒーの教本/監修:フワッティ・カフェ 協力:諸山泰三
最後に
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