タイのグリーンカレーを食べたことはありますでしょうか。
最近ではレトルトでも食べられるようになり、日本でも身近な存在だと思います。
緑色の理由や辛さの秘密、そして日本人が愛する理由を詳しくご紹介します。辛いだけではない、グリーンカレーの深い魅力を知りましょう。
タイにおけるグリーンカレーの基本情報|緑色の甘い汁物?
グリーンカレーは、プリッキーヌーというトウガラシをまだ青く未熟な時に収穫し、コリアンダー(パクチー)とともにこれら緑色の具材をふんだんに使用しているため、緑色のカレーになります。
タイ料理レストランのメニューではグリーンカレーは「ゲーン・キョワン」と書かれています。
タイではカレーのことを「ゲーン」と言います。「キアオ」が「緑色」という意味で「ワーン」は「甘い」。
「キアオ・ワーン」を「キョワン」と発音し、「緑色で甘い」という意味になります。
つまり「ゲーン・キョワン」は緑色で甘いカレー、これで「グリーンカレー」という意味になります。
しかしこれはあくまでもタイの国外向けへの説明であり、「ゲーン」のことをタイでは「香辛料やココナッツミルクを入れた汁物」くらいの意味合いで使っています。これを外国人がカレーと呼んでいるだけなのです。
そのため「ゲーン・キョワン」を事実に即して解釈するのならば、「緑色の甘い汁物」といったところなのかもしれません。
以下、本文ではグリーンカレーのことを「ゲーン・キョワン」と呼びます。
グリーンカレーの辛さの源|プリッキーヌーとココナッツミルク
緑色のもととなるトウガラシ「プリッキーヌー」を入れるという特徴があり、このプリッキーヌーは痛みにも似た辛さが口を刺激します。
個人的にこれ自体は苦手な辛さなのですが(辛すぎるからです)、ゲーン・キョワンのもうひとつの特徴がココナッツミルクを入れて煮込んでいることで、甘さも強いためプリッキーヌーの刺激を和らげてくれる作用があります。
この激辛とマイルドな甘さの共存がゲーン・キョワンの魅力になります。そのほかの具材には鶏肉、タケノコ、ナスなどが主に使われています。
東南アジアではカレーにココナッツミルクを利用する文化が定着しています。マレーシア・インドネシアで食べられている「ルンダン」もカレーの辛さをココナッツミルクがマイルドにしてくれています。
タイのグリーンカレーと日本人
東南アジアのカレーと聞いて真っ先にタイのグリーンカレーを思い浮かべるかもしれません。
例えば、北インドのカレーなどと比べるとハーブをふんだんに使用しており、トウガラシの種類も豊富であるのが特徴です。
また、東南アジアの地域の特色は、稲作が盛んであるためカレーの主食がパンではなく米である点です。
そして、インドと中国という2つの大国の影響を受けやすいという点も挙げられますが、タイについては独自の食文化を醸成している印象が強いです。
タイは地理的状況や外交政策の影響で、アジアでも植民地にならなかった数少ない国のひとつです。カレーについても、タイ人はカレーと思っていませんし、少し他国とは違った独特な食事を楽しめる国なのです。
グリーンカレーとは別に「マッサマンカレー」という独特なカレーもタイが発祥です。
僕にとってはプリッキーヌーの辛味が強すぎなのですが、時々食べたくなる魅力が「ゲーン・キョワン」にはあります。
夏が近づいて暑くなってきたら久しぶりに食べようかと思います。
気に入ったらツイートしてねTweet
参考文献
カレーの世界史/井上岳久
コメント